ピッキングとは?仕事内容、特徴、向いている人、給与相場を解説
私たちが日常生活で購入し使っている商品。例えば、洋服、電化製品、書籍、食品、化粧品、玩具、スポーツ用品、家具、ガーデニング、医薬品など。また、工場で製品を作るのにつかわれている様々な部品、材料、原料など。これらが私たちや工場に迅速に配送される仕組みが存在しています。
その中核を成すのが「ピッキング」の仕事。物流や倉庫系の仕事の中でも大切な工程の一つです。
しかし、ピッキングと聞いて、具体的にどのような作業なのか、またどんな特徴や種類があるのか、イメージが湧かない方も少なくないかもしれません。
ピッキングの仕事とはどのようなもので、どんな人が向いているのか?そして、給料の相場はどれくらいなのか?
この記事では、ピッキングの仕事に関するこれらの疑問に答えながら、その魅力や多様性について掘り下げて解説していきます。
目次
「ピッキング」とは?
1.ピッキングの仕事の概要
ピッキングは、物流センターや倉庫で、注文された商品を正確に棚から取り出し、出荷や配送のための準備を行う作業を指します。「選び取る」「摘む」「採集」などの意味を持つpickからきている物流用語です。
2.具体的な作業手順
・注文リストの確認:受注した商品の伝票や指示書(ピッキングリストと言う)を元に、どの商品をどれだけ取り出すかを確認します。
・商品のピッキング:棚やラックから、注文リストに従って商品を取り出します。取り出しは、ハンディターミナル(データを読み取るモバイル型端末機器)を使用して注文リストと商品を照合する方法と、印刷した注文リスト、ピッキングシートを手で持ち、それらを見ながら確認する方法と二つあります。
小規模な倉庫や物流センター、機械化があまり進んでいない古くからの現場では後者の方法をとるところがまだあります。
なお、同様に小規模な倉庫や物流センターでは、ピッキング作業者がその後の検品、梱包、出荷準備も兼任してする現場もあります。
ピッキングの種類
1.ピースピッキング
●概要
1点ずつ商品を取り出す方法。小さな商品や少量の注文に特化しています。
●特徴
・小物やバラの商品を取り扱うことが多い。
・書籍、ゲームソフト、衣服、小物、化粧品、医薬品など一般消費者向けから、機械や機器を組み立てる時に使う様々な部品(少量注文、単品注文、特注品など)などを扱う。
・細かい商品が多くなるため、高い集中力が求められる。
2.ケースピッキング
●概要
商品を1ケース単位で取り出す方法。一定の量をまとめて出荷する場合に適しています。
●特徴
・大量の同じ商品を取り扱うことが多い。
・ケースで入っている飲料、食料品、日用品だけでなく、大量注文でケース入りとなった部品などを扱う。
・大量出荷や一定量の在庫補充が必要な時に活用される。
・塗料や化学薬品など大容量容器に入った品などもケースピッキングで扱う。
・体力を要する作業がある。
・ハンドリフトを使った作業をすることがある。
3.パレットピッキング
●概要
大量の商品を1パレット単位で取り出す方法。大型商品や大量出荷が必要な場合に使用されます。
●特徴
・一般消費者向けでは、飲料、生鮮食品、乾物など飲食料品の中でも大量ケースになるものや、大型家電製品、家具、大袋に入った土や肥料など園芸用品、自動車のタイヤなどを扱う。
・工業製品の分野では、金属粉末やペレット、薬品などを詰めた大袋やドラム缶、大型の機械、装置、建材、配線やケーブルを巻き付けた大リール、ガスボンベ等を扱います。
・重量物の取り扱いがあるため、体力が求められる。
・ハンドリフト、フォークリフトなどの機械を使用することがある。
ピッキングが向いている人
ピッキングは、基本的に未経験で始められる仕事です。多くの物流業者や倉庫では、新入社員やアルバイト、パート社員に研修やOJTを実施して、未経験者でも業務ができるように指導をしています。
以下、ピッキング業務の共通の特徴と、種類別特徴に分けて解説します。
1. 共通の特徴
・集中力: 長時間の作業でもミスをしないための強い集中力。
・正確性: 注文内容や数量などの情報を正確に把握し、正確なピッキングを行う能力。
・商品の配置への理解: 商品の保管場所や流れを理解すること。
・チームワーク: 他のスタッフと協力して作業を進めることが求められる。
2. ピッキングの種類別特徴
●ピースピッキング
・細かい作業が得意: 小さな商品や部品の取り扱いが多いため。
・瞬時の判断力: 一つ一つの商品を迅速に確認し、ピッキングする能力。
・持続力: 長時間、立ち仕事や移動を続ける体力。
・未経験者の取り組みやすさ: 1点ずつ商品を取り出す作業。簡単な操作や手順を覚えるだけで始められるので、未経験でも取り組みやすいです。
●ケースピッキング
・体力: ケース単位の商品を持ち運ぶため、ある程度の体力が必要。
・効率的な思考: 多くの同じ商品を効率よくピッキングする考え方。
・収納判断能力: 利用可能なスペースにどのように物を配置すれば良いかを考えられる能力。
・未経験者の取り組みやすさ:作業手順はシンプルですので、一定の体力があれば未経験でも取り組みやすいです。
●パレットピッキング
・体力: 大量の商品や大型商品の取り扱いがあるため。
・機械操作能力: フォークリフトなどの機械を使用することがあるため、その操作能力。
・安全意識: 大型の商品や機械を扱うため、常に安全を意識し、正確かつ安全な作業を行う資質。
・未経験者の取り組みやすさ: 大量の商品や大型商品の取り扱いがあるため、体力だけでなく、フォークリフトやハンドリフトの操作経験が求められる場合があります。未経験ですと取り組みにくいかもしれません。
ピッキングの給料相場
Indeedの採用市場レポートによる2023年11月調査によると、ピッキングの平均的な時給は1,271円となっています。
関西圏の2府4県では、次のようになっています。
- 大阪府:1,272円
- 京都府:1,262円
- 滋賀県:1,292円
- 兵庫県:1,270円
- 奈良県:1,192円
- 和歌山県:1,17Ⅰ円
ピッキングの仕事であると有利な資格、免許
ピッキングの仕事は未経験で取り組める仕事ですが、以下に紹介する資格や免許を既に持っていれば、より条件の良いピッキングの仕事に就ける可能性が高くなります。
また、これからピッキングの仕事を始める方にとっても、先々こうした資格、免許を取ることで、給与アップ、キャリアアップの可能性が出てきます。
1. フォークリフト運転技能講習修了証
国が定める講習を受け、修了証を取得すれば、フォークリフトを運転することができるようになります。
特にパレットピッキングや大型商品の取り扱いをするピッキングの仕事は給与相場も高く、こうした仕事に就けるチャンスが大きくなります。
2. クレーン・デリック運転士
5トン以上の荷物を吊るすのに使われるクレーン、デリックが運転できる国家資格。一部の大型倉庫や物流センターでは、クレーンやデリックを使用しなくてはピッキング作業ができない現場もあり、有資格者は重宝する存在です。
なお、クレーンとデリックは操作性が異なり、安全規則もそれぞれ異なります。
・クレーン:クレーンは油圧シリンダーなどでブーム(クレーンの上部本体に取り付けられている、長い棒状のもの)を操作する機械。
・デリック:デリックはワイヤーをウインチ(車やドラムなどでワイヤーを巻き取る機械)で操作する機械。
3. 危険物取扱者
化学製品やガスなど、危険物のピッキングを行う現場で必要とされる国家資格資格。危険物と一言で言っても様々な種類があり、この資格も扱えるものによっていくつかに分類されます。
●甲種危険物取扱者
全ての種類の危険物の取扱いと立会いができます。
●乙種危険物取扱者
第1類~第6類に分かれています。
・乙種第1類:酸化性固体(塩素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムなど)
・乙種第2類:可燃性固体(硫黄、赤リン、マグネシウムなど)
・乙種第3類:自然発火性物質及び禁水性物質(ナトリウム、リチウム、黄リンなど)
・乙種第4類:引火性液体(ガソリン、灯油、軽油、エタノールなど)
・乙種第5類:自己反応性物質(ニトログリセリン、トリニトロトルエン、アジ化ナトリウムなど)
・乙種第6類:酸化性液体(過酸化水素、硝酸など)
●丙種危険物取扱者
第4類の危険物のうち、ガソリン、灯油、軽油、第3石油類(重油、潤滑油及び引火点130度以上のものに限る)、第4石油類及び動植物油類のみ取扱いができる。丙種は立会いはできないが、定期点検は行う事ができます。
まとめ
ピッキングは、私たちの日常や工場の生産活動に欠かせない重要な業務の一つです。物流業界は今後も需要がある上、この仕事は未経験からでも始められるため、これからチャレンジしたい方におすすめの仕事の一つです。
モクモクと作業を進めることが好きな方、また体を動かすことが得意な方に向いている仕事でもあります。
また、国家資格もあり、それを取得することでキャリアアップのチャンスも広がっていきます。
こうしたスタイルのお仕事に興味を持ち、ご自身に合いそうだと思われましたら、この機会にピッキングの仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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