ピッキングの仕事はきつい?商品ごとの作業の特徴、向いていない人を解説
ピッキング作業というと、一見シンプルで取り組みやすい仕事に見えるかもしれませんが、この仕事を「きつい」と感じる方も少なくありません。この仕事は、倉庫内で顧客が注文した商品を見つけて集めるという、シンプルだが物流業界における不可欠な役割を担っています。
では、このシンプルに見える仕事で、なぜ「きつい」という声が上がるのでしょうか?その理由は大きく分けて二つあります。
一つ目には、ピッキングは扱う商品によって難易度が異なる点です。
ピッキングで扱う商品は、食品から衣料品、医薬品、部品、電子機器、紙製品、原料など様々で、それぞれの商品には異なる取り扱い注意点があります。賞味期限や温度管理が必要な食品、サイズや色のバリエーションが豊富な衣料品、壊れやすく高価な電子機器など、商品の特性に応じた注意が必要です。
二つ目には、ピッキング作業者は、正確かつスピーディーな作業を求められます。
顧客の注文を正しく、かつ迅速に処理することが、商品を扱っている会社の事業成功に直結しています。この条件の下、作業者は集中した作業を継続することが求められますが、こういう特徴を持つピッキング作業が合う人もいれば、合わない人も出てきます。
このコラムでは、ピッキング作業の概要と商品別ピッキングの特徴、難易度を取り上げます。
また、ピッキングに向かない人の特徴と併せて、この作業にうまく対応するためのポイントを解説いたします。
目次
ピッキングの仕事内容とは?
ピッキング作業は、顧客からの注文に基づき、倉庫内にある商品を棚から正確に取り出し、出荷や配送のために準備する作業です。ECサイトの成長に伴い、この業務の重要性が増しており、この作業特有の技術と注意深い作業が求められています。
ピッキングには、「オーダーピッキング」と「バッチピッキング」という二つの基本的な方法があります。
1.オーダーピッキング
各顧客の注文に応じて個別の商品を選ぶ手法です。
2.バッチピッキング
複数の注文を同時に処理し、効率化を図ります。
ピッキングの難易度は、取り扱う商品の種類だけでなく、倉庫の大きさ、採用されているシステムによって異なります。
例えば、広範囲にわたる大型の倉庫では、商品の正確な位置を覚え、効率的な動きを計画する必要があります。小規模な施設では、限られたスペース内での商品の整理や管理がカギとなります。
ピッキングの仕事内容そのものについて、もう少し詳しく知りたい方は、以下の記事にピッキングの種類や特徴、基本的手順などを解説していますご興味のある方は、ぜひご覧ください。
ピッキングとは?仕事内容、特徴、向いている人、給与相場を解説
商品別ピッキングの難易度
1.本のピッキング
●商品例
書籍、雑誌、教材など
●作業の特徴
・定期的な更新:新刊の入荷や版の変更が頻繁に行われる。
・細かい分類:ジャンル、著者、出版社による詳細な分類がある。
・均一な保管:大抵の書籍は棚に直立して保管され、一覧しやすい。
●やりやすい点
・長期的な在庫管理:食品のように賞味期限がなく、長期間一定の状態で保管できる。
・識別の容易さ:ISBNなどの識別コードにより、正確な書籍を特定しやすい。
・耐久性:痛みやすいものではなく、取り扱いが比較的容易。
●難しい点
・似たような外観:カバーデザインが似ている書籍が多く、特定のタイトルを見つけるのが難しいことがある。
・多様な版やバージョン:同じタイトルでも異なる版やバージョンが存在し、注文に合った正確なものを選ぶのが手間になることがある。
・細かい分類システム:ジャンルや著者による分類が複雑で、特定の本を探すのに時間がかかることがある。
2.文房具のピッキング
●商品例
衣類、靴、バッグなど
●作業の特徴
・比較的軽量:一部ケースに入っている商品を除くと、比較的軽量で扱いやすい商品が多い。
・多様な商品数:商品の種類
●やりやすい点
・識別の容易さ:商品の識別がしやすいです。
・標準化された保管:大部分の文房具は棚や箱など整理しやすい形状をしています。
・安定した需要:文房具は幅広い層に常日頃から使われているため、一年中安定した需要があります。
●難しい点
・細かいアイテムの取り扱い:小さいサイズのアイテムが多く、細かい部品の取り扱いが必要です。
・商品の多様性:文房具は非常に多様で、在庫管理が複雑になります。
・繊細な商品の扱い:アート用品のような繊細な商品は特別な注意が必要です。
3.アパレルのピッキング
●商品例
・服:Tシャツ、ドレス、ジャケット、ジーンズなど。
・アクセサリー:ベルト、スカーフ、帽子。
・靴:スニーカー、ブーツ、サンダル。
・バッグ:ファッションバッグ、ビジネスバッグ
●作業の特徴
・サイズと色の多様性:同じスタイルの服でも、サイズや色が異なるため、正確な選択が必要。
・シーズン性:季節によって取り扱う商品が変わり、流行も影響する。
・保管と表示の容易さ:多くのアパレル商品はハンガーや棚に掛けられ、視認しやすいです。
●やりやすい点
・識別の容易さ:アパレル商品は色やスタイルで識別しやすく、見分けやすいです。
・整理しやすい:ハンガーや棚で整理しやすく、取り出しやすい構造です。
・商品が比較的軽量:一部、ケースに入っているものは重量物があるが、総じて軽量な製品が多く、体力的な負担が比較的小さい。
●難しい点
・細かい識別が必要:サイズや色が似ているアイテムが多く、注意深く選ばなければなりません。
・在庫の変動:季節や流行による在庫の変動が大きく、新しい商品を覚えるなど迅速な対応が必要です。
・繊細な取り扱い:一部のアイテムは繊細で、しわや損傷を避けるための慎重な取り扱いが必要です。
4.生鮮品のピッキング
●商品例
野菜、肉類、魚介類男、果物など
●作業の特徴
・温度管理:品質維持のため、特定の温度範囲での保管が必要です。
・品質変化:商品は時間の経過とともに鮮度が低下しやすい。
・形状の多様性:果物や野菜など、形状が不規則で扱いにくい商品が多い。
●やりやすい点
・視覚的識別:色や形で商品を識別しやすい。
・直感的な品質判断:見た目や触感で品質の良し悪しを判断しやすい。
・カテゴリー分けが明確:果物、野菜、肉類など、大まかなカテゴリーによる分類がはっきりしている。
●難しい点
・短い賞味期限:賞味期限が短いため、迅速な取り扱いが必要です。
・温度感応性:特に魚介類や肉類は、適切な温度で保管しないと品質が急速に低下します。
・品質のばらつき:自然製品のため、サイズや品質に個体差があり、均一な品質の確保が難しい。
5.日配品のピッキング
●商品例
乳製品、冷凍食品、ベーカリー製品、加工肉など
●作業の特徴
・冷蔵冷凍保管:品質維持のため、特定の温度範囲での保管が必要。
・賞味期限の管理:乾物・缶詰などのような食品に比べて賞味期限が短く、回転率が高い。
・多様な形態:液体、固体、粉末など様々な形態の商品がある。
●やりやすい点
・一定の保管環境:温度管理された特定の場所に集中して保管されるため、商品の位置が把握しやすい。
・パッケージの識別性:パッケージが特徴的で識別しやすい場合が多い。
・繰り返しの取り扱い:日常的に需要があるため、たまにしか見ないような商品をピッキングする、ということが少なく、作業に慣れやすい。
●難しい点
・温度感応性:生鮮品と同様に、適切な温度での保管が必要で、品質が低下しやすい。
・賞味期限の厳格な管理:乾物や缶詰などに比べて賞味期限が短く、頻繁な在庫の回転が必要。
・多様な商品の取り扱い:液体から固体まで多様な商品があり、パッケージの傷つきやすさや重量も異なるため、それぞれの取り扱いに慣れる必要がある。
6.乾物・缶詰などのピッキング
●商品例
・乾物:米、パスタ、豆類、乾燥野菜。
・缶詰:缶入りのフルーツ、野菜、魚、肉製品。
・スナック:チップス、クッキー、キャンディ。
・調味料:塩、砂糖、スパイス、ソース類。
●作業の特徴
・長期保存:生鮮品や日配品に比べて賞味期限が長く、長期間の保管が可能。
・安定した保管条件:温度や湿度による痛みなどが少なく、保管が容易。
・均一なパッケージング:缶詰や袋詰めなど、一定の形状のパッケージが多い。
●やりやすい点
・賞味期限の長さ:生鮮品や日配品と比較して、賞味期限が長いため、在庫管理が容易。
・安定した保管:温度や湿度の変化に敏感でない為、特別な保管設備が不要。
・整理しやすいパッケージ:サイズや形状が均一のパッケージが多いため、積み重ねや整理がしやすい。
●難しい点
・多様な品揃え:商品の種類が非常に多く、特定の商品を見つけるのに時間がかかることがある。
・重量物の取り扱い:大袋の米や大量の缶詰など、重量物の取り扱いが必要な場合がある。
・在庫の大量保管:長期保存が可能なため、大量の在庫を保管するスペースが必要になることがある。
7.化粧品のピッキング
●商品例
・スキンケア製品:化粧水、乳液、クリーム。
・メイクアップ製品:ファンデーション、口紅、マスカラ。
・ヘアケア製品:シャンプー、コンディショナー、ヘアスタイリング剤。
●作業の特徴
・複数のブランドと製品ライン:さまざまなブランドや製品ラインからなる広範囲のアイテム。
・サイズと形状の多様性:瓶、チューブ、パレットなど、様々な形状とサイズが存在する。
●やりやすい点
・識別が容易:製品にはブランド名、色、種類など明確なラベリングがされており、識別が容易。
・長期的な在庫保持可能:生鮮品や日配品のような短い賞味期限の心配がなく、比較的長期間の在庫保持が可能。
●難しい点
・製品の繊細さ:液体や粉末状の製品は、取り扱い中の漏れや破損のリスクがある。
・在庫の多様性:色や種類の違いが非常に細かいため、在庫管理が複雑になる。
・品質の維持:化粧品は温度や光に敏感なものも多く、品質を維持するための適切な保管が必要。
8.医薬品のピッキング
●商品例
処方薬、一般用医薬品(OTC薬)、サプリメント、栄養補給剤など。
●作業の特徴
・厳格な保管条件:一定の温度や湿度での保管が必要な場合が多い。種類によっては、冷蔵保存が必要なものや、
・多様な形態とサイズ:錠剤、カプセル、液体、クリームなど、様々な形態があります。
・安全性:医薬品は生命関連商品という位置づけで慎重な取り扱いが要求される。誤出庫誤配送は勿論のこと、パッケージの破損に対しても医療関係者は非常に神経をとがらせており、丁寧な扱いが求められる。
●やりやすい点
・明確なラベリングと分類:医薬品は効能や成分により明確にラベリングされているため、識別がしやすい。
・就業環境:空調完備で温度、湿度管理も一定であるため働きやすい。
●難しい点
・厳格な温度管理:生鮮品や日配品と同様に温度管理が重要ですが、医薬品の場合はさらに厳格です。
・厳密な管理方法:医薬品の場合は商品名、容量、使用期限、製造番号(ロット番号)、個数による管理が必要。
・安全性への高い要求:誤ったピッキングにより、医薬品を待っている患者の健康に大きな影響を与える可能性があるため、正確性が非常に重要。
9.医療材料のピッキング
●商品例
・消耗品:手袋、マスク、ガーゼ、包帯。
・外科用器具:スカルペル、メス、鉗子、針。
・診断器具:聴診器、血圧計。
・特殊機器:心電計、超音波機器。
●作業の特徴
・多様なサイズと形状:小さな消耗品から大きな機器まで、サイズと形状が幅広い。
・厳格な品質管理:製品の清潔さと機能性が重要で、しばしば滅菌処理が必要。
・緊急性の高さ:医療現場では迅速な供給が求められる。
●やりやすい点
・明確な用途分類:用途に応じて明確に分類されているため、特定のカテゴリーの商品を見つけやすい。
・軽量なものが多い:一部の装置、機器を除いて軽量で扱いやすいものが多い。
●難しい点
・多様な商品の管理:サイズや用途が多様であるため、在庫管理が複雑になりやすい。
・滅菌状態の維持:清潔性と滅菌状態を維持するための取り扱いが必要。
10.部品のピッキング
●商品例
・機械部品:ボルト、ナット、ベアリング、ギア。
・電子部品:抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、回路基板。
・自動車部品:ブレーキパッド、フィルター、ライト、ミラー。
●作業の特徴
・小さいサイズのアイテムが多い:部品はしばしば非常に小さく、細かい作業が必要。
・類似した部品がある:類似した部品でも微妙な違いがあり、正確な識別が求められる。
・在庫の大量保管:一般的な部品や標準サイズの部品は大量に在庫する必要があり、効率的な保管と取り出しの方法が重要になる。
●やりやすい点
・明確なラベリングと分類:部品は型番やサイズで明確に分類されており、識別しやすい。
・一定の保管方法:小さいサイズの部品は特定の収納ボックスや引き出しに整理されやすい。
・長期的な在庫管理:生鮮品や日配品のような短い賞味期限の心配がなく、長期間の在庫管理が可能。
●難しい点
・細かい識別:部品は形状やサイズが似ていることが多く、細かい識別が難しい。
・在庫の多様性:部品は多種多様で、在庫管理が複雑になる。
・繊細な取り扱い:電子部品などは静電気や衝撃に敏感なため、慎重な取り扱いが必要。
11.電子機器のピッキング
●商品例
・コンシューマーエレクトロニクス:スマートフォン、タブレット、ラップトップ。
・家電製品:テレビ、冷蔵庫、洗濯機。
・オーディオ機器:ヘッドフォン、スピーカー、アンプ。
●作業の特徴
・繊細な取り扱いが必要:電子機器は衝撃や水濡れに敏感で、慎重な取り扱いが必要です。
・高価値商品:他のカテゴリーと比べて、価値が高い商品が多いです。
・多様なサイズと形状:小型のガジェットから大型の家電まで、サイズと形状が幅広い。
●やりやすい点
・識別の容易さ:ブランド名、型番などにより製品の識別が容易です。
・包装の均一性:多くの電子機器は均一な箱やパッケージングで提供されるため、積み重ねや整理がしやすい。
●難しい点
・壊れやすさ:生鮮品や化粧品と同様に、取り扱いに細心の注意が必要です。特に、画面や精密部品が損傷しやすい。
・価値の高さ:高価値の商品を扱うため、盗難や損失のリスク管理が重要です。
・技術的な知識が必要:特定の製品の機能や取り扱いに関する専門知識が必要な場合があります。
12.電化製品のピッキング
●商品例
・大型家電:冷蔵庫、洗濯機、エアコン。
・キッチン家電:電子レンジ、トースター、ブレンダー。
・パーソナルケア製品:ヘアドライヤー、電気シェーバー。
●作業の特徴
・サイズと重量の多様性:小型のキッチン家電から大型の冷蔵庫まで、サイズと重量が様々です。
・保管と運搬の要求:特に大型家電は、運搬と保管に特別な設備や配慮が必要です。
・製品の複雑さ:多くの電化製品は機能が多岐にわたり、特定の使用方法や注意点があります。
●やりやすい点
・識別の容易さ:ブランド名や型番によって製品を識別しやすい。
・長期的な在庫保持:部品や電子機器と同様、比較的長期間の在庫保持が可能です。
●難しい点
・重量物の取り扱い:大型家電は重量があり、運搬や保管には特別な設備や技術が必要です。
・破損のリスク:電子機器と同様、取り扱いには細心の注意が必要で、破損や損傷のリスクがあります。
ピッキングに向かない人の特徴
以下に、ピッキングに向かない人の一般的な特徴を説明します。
1. 注意力に自信がない
・細かいチェック:生鮮品や医薬薬などを扱う時、賞味期限や製造番号を細かくチェックする必要があります。それが苦手な人には難しいかも知れません。
・繊細な商品の扱い:電子機器や化粧品など、慎重に扱わなければいけない商品があるので、そうした扱いが苦手な人には辛くなります。
2. 体力に自信がない
・立ち仕事:ピッキングは軽作業に入る仕事で、女性やシニア層の方も多く活躍していますが、立ち仕事です。慣れも必要で、立ち仕事をする体力がないと難しくなります。
・重量物もある:家電製品はじめ、一部の商品は10数キロ級の商品があり、それを運ぶこともあります。
3. 商品を覚えるのが苦手
・沢山の商品を覚える:本や部品のように種類が多いものは、それだけ多くの商品を覚える必要が求められます。
・新しい商品に対応する:特に一般消費者向け製品になると、新製品や終了になる商品が入れ代わり立ち代わり出てくるので、こうした変化に対応できないと大変です。
4. 細かい作業が苦手
・小さいものを扱うのが苦手:電子部品や小さな医療用品など、小さいものを扱うのにフラストレーションを感じる人には辛い作業となります。
ピッキング作業にうまく対応するためのポイント
ピッキング作業は、経験がない方でも多くの人が順応し活躍できる仕事です。以下にうまく順応するためのポイントを説明します。
1.正しく丁寧な作業をまず覚える
ピッキングは商品の使用/賞味期限、ロット番号、個数などを正確に確認する事が求められます。スピードも大切ですが、まずは正しい確認ポイントと手順、ハンディターミナルなど機器の使い方を覚え、着実な作業ができるようにします。
また、電子機器や化粧品など繊細な商品を取り扱う際は、丁寧さが特に必要となります。焦らず慎重に扱う癖を身に付けます。
2.立ち仕事に慣れる
特に初めてピッキング作業をする人は、初日、二日目で足腰が疲れます。休憩中、自宅に帰って寝る前にストレッチをする、お風呂に入るようにするなど体のメンテナンスに努めます。個人差がありますが、1週間たつとだんだん慣れてきます。
3.メモを活用しながら商品名を覚える
商品名をどれだけ覚えられるかが大きなポイントになります。記憶力に自信がある人でも、数多くの商品名を覚えるのはなかなか難しいです。逐一メモを取り、それを読み直しながら覚えるようにします。
まとめ
ピッキングの仕事は、どんな商品を扱うのか、作業場所の環境によって、仕事の大変さが変わってきます。それぞれの現場で必要な技能や体力があれば、うまく順応して長く活躍できます。
各商品の特徴と求められることを理解して、ご自身に合うピッキング作業を見つけ、長く仕事を続けられることを願っています。
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